南西部の建築探訪 プエブロデコ - 3
(アリゾナ、ニューメキシコ、アメリカ合衆国)

プエブロデコを見て回ると、アールデコの骨格に南西部のモチーフが載ったものから、コロニアル様式に、アールデコと先住民モチーフ由来の文様が飾られたものまで、大枠の建築は、ひとくくりしにくいのですが、ズームレンズで細部を見るようにすると、もやもやが晴れて来ます。

かいつまめば、部分でつながったスタイル。

アールデコという幾何学的な意匠への熱狂が南西部に届いたとき、先住民の文様の中に、相通ずる幾何学的意匠を見付け出したことが、出発点のよう。先住民の世界では、それまでは、衣服や陶芸など小さいものにとどまり、建築とはあまり結び付かなかった文様が、アールデコの装飾の代わりとして、南西部の近代建築に進出しました。

丁度、鉄道が開通し、新しい旅行地として、南西部が脚光を浴びた時代で、プエブロデコにリストアップされた建物の多くも、劇場、鉄道の駅、観光客用のホテルなど、ツーリズムに結びつきます。そして、なぜか裁判所。鉄道が、新しい文化と新しい法制度と犯罪を運んで来たのでしょうか。

地域の交流が少なかった時代には、地域主義は、その場所にある昔からの建築タイプを踏襲すれば事足り、迷いもありませんでしたが、外の世界からの情報が簡単に入るようになると、インターナショナルな建築に、どうやってローカルな感覚を映し出すかが課題となりました。大抵は、細部のディテールの違いで、地域の違いを表現しようとします。

ただ、建築の大枠が違うと、ディテールが似ていても、同じカテゴリーには分類されないのがふつうなのに、プエブロデコは、建築の大枠を超え、細部から仲間を見つけて、新しいスタイルにすくい上げました。ちょっと新鮮です。これも、文化の「地」の強い南西部のなせる技でしょうか。

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交通
アルバカーキの建築:アルバカーキのダウンタウンの徒歩圏内。
フェニックス郡庁舎、ラースタワー:フェニックスのダウンタウンの徒歩圏内。
チーフ劇場:ギャラップのダウンタウンの徒歩圏内。

リンク
City of Albuquerque
Albuquerque Convention & Visitors Bureau

宿泊施設のリスト
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アルバカーキのリスト
ギャラップのリスト
フェニックスのリスト

参考文献
"Pueblo Deco" (Carla Breeze, Rizzolli, 1990)

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ライト交易所、アルバカ−キ(設計:不明) (1935)

メイズル交易所、アルバカーキ(設計:John Gaw Meem) (1937)

スキナー・ビル、アルバカーキ(設計:A. W. Boehning) (1931)

フェニックス市+マリコパ郡庁舎、フェニックス(設計:Edward Neild) (1928)

チーフ劇場、ギャラップ(設計:R. E. Griffith) (1920, 1936)

        Photo by Daigo Ishii