南西部の建築探訪 プエブロデコ - 2
(アリゾナ、ニューメキシコ、アメリカ合衆国)

プエブロデコの生息地は、テキサス州、ニューメキシコ州が中心で、それにアリゾナ州が加わり、ちょっと飛び火してニューヨークあたり。今回、見たのは、アリゾナのフェニックスからニューメキシコのアルバカーキ経由でサンタフェに至る道中の作品でしたが、Carla Breezeの著した本「Pueblo Deco」による前知識がなければ、同じカテゴリーとは思えないぐらい、いろいろでした。

サンタフェの駅は、南側ポーチの庇を支えるように、階段状の持ち送りがひっそりとありますが、それを除けば、どう見ても、コロニアルの一つ、ミッション・リバイバル様式。

アルバカーキのダウンタウンにある6階建ての連邦ビルは、水平な帯やアーチに、先住民のモチーフを元にした幾何学文様をはめ込んでいるものの、近寄らない限り、ルネッサンスのリバイバル様式にしか見えません。

フェニックスにあるアリゾナ・ビルトモア・ホテルを訪れると、フランク・ロイド・ライトにばかり視線が向きますが、設計者のマッカーサーは、ライトだけでなく、先住民の建築にも影響を受けていたそうで、ホールに掛かる甲冑のような屋根は、祭祀の場であるキバを模したとのこと。

それが、同じフェニックスのラース・タワーになると、アールデコ建築の装飾が、コロニアル由来のモチーフに置き換わっただけなので、急にわかりやすくなります。

キモ劇場の目と鼻の先にあり、南西部への旅行ブームでできた観光客向け土産物店ライト交易所(次頁)の、看板建築のファサードは、店内で扱う先住民のジュエリーやホピ族の「積み上げたとうもろこしの穂」のイメージを現す一方で、鉱物的表現が、アールデコの特徴と重なります。

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交通
サンタフェ駅:サンタフェのダウンタウンから徒歩20分程度。
アルバカーキの建築:アルバカーキのダウンタウンの徒歩圏内。
フェニックス郡庁舎、ラースタワー:フェニックスのダウンタウンの徒歩圏内。
チーフ劇場:ギャラップのダウンタウンの徒歩圏内。

リンク
City of Albuquerque
Albuquerque Convention & Visitors Bureau

宿泊施設のリスト
サンタフェのリスト
アルバカーキのリスト
ギャラップのリスト
フェニックスのリスト

参考文献
"Pueblo Deco" (Carla Breeze, Rizzolli, 1990)

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サンタフェ駅、サンタフェ(設計:Charles Whittlesey) (1909)

連邦ビル、アルバカーキ((設計:Louis A. Simon, James B. Wetmore) (1930)

アリゾナ・ビルトモア・ホテル、フェニックス((設計:Alvert Chase McArthur) (1929)

ラース・タワー、フェニックス(設計:Trost & Trost) (1929)

        Photo by Daigo Ishii