キャンディの古寺 - 1:
ガダラデニヤ寺院
(キャンディ、スリランカ)

キャンディの古寺を巡る旅は、スリランカの建築の持っている豊かさを知る旅です。郊外の3つの寺院(ガラデニヤ寺院、ランカティラカ寺院、エンベッカ寺院)は、スタイルも違い、構造も石造、煉瓦造、木造と異なっています。同じ時期に同じ地域につくられたにもかかわらず、これだけの多様性を見せることが、スリランカ文化の厚みを示しているのではないでしょうか。

ガダラデニヤ寺院は、キャンディの南西に広がる丘陵地帯に位置しています。3つの寺院巡りの入口となります。

門を入ると、緩やかに起伏する岩山が大きく現れます。露出した岩盤がそのまま寺の境内となり、窪みのところどころの水たまりが、いくつもの蓮の咲く池となって、参詣者を迎えます。奥には、本堂とその隣に赤い瓦屋根の礼堂が、門の脇には、ストゥーパを載せ、屋根で覆われた十字型のお堂が、岩盤に直接載っています。よくぞ、この岩山を見付けて寺にした、というぐらい、岩と結び付いた聖地の多いスリランカの中でも、岩の形よし、岩のランドスケープと建築のバランスよし、建築の意匠よし、と3拍子そろった最上位の場所です。

本堂は石造の本体の上に、煉瓦造の2つのドームを載せています。1344年、ブワネカバフ4世によって建立され、南インド出身の建築家が関わったため、南インド風のデザインになったそうです。とは言うものの、南インドに比べれば、装飾は控えめで、ポーチ回りの柱や欄干、外壁の柱型を除けば、新古典主義的な節制も感じます。

内部には、ヒンドゥー教のビシュヌ像も祀られていますが、本尊である大きな仏陀の思惟像は、ポルトガルによって破壊され、18世紀に再制作されたものとのこと。内殿の漆塗りのドアや、さまざまな神々の彫り出された仏陀の後背部分、フレスコ画など、当時のスリランカの伝統技術の粋が残り、この内殿を品のある優雅な空間に仕立てています。

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交通
キャンディ中心部から車で小1時間

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参考文献
Buddhist Monastic Architecture in Sri Lanka (A. Senneviratna + Benjamin Polk, Abhinav Publications, 1992)

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ガダラデニヤ寺院 (1344)

Photo by Daigo Ishii