作品 INDEXに戻る

←前の作品へ         次の作品へ→

←前の住宅作品へ    次の住宅作品へ

豪雪地の長岡市中心街に建つ住宅です。

家業の店舗は残し、住宅部分を建て直しています。

建築基準法による構造遡及の適用を避けるため、既存建物と新築部は、建築的に切り離し、冬季の雪を避ける、大きな庇を付けた路地でつないでいます。

住宅は、高齢の両親に配慮して、1階を主体とし、その上に、大きなロフト(小屋裏)が載っています。

大きな光窓を持つロフトは、家をさまざまに結び付ける場所となっています。

1つ目は、物(家族の記憶)を置く場所です。2つ目は、1階が雪に埋まる豪雪時、2階の高窓から、各部屋の天井開口部を経由して、雪に埋もれた1階に光を取り込む場所です。3つ目は、開口部経由で、各部屋の気配が伝わり、家族を柔らかくつなぐ場所です。

大きな空である2階天井に、開口部から漏れた各部屋の灯りが映り、活動の音がぼんやりと伝わります。家族の気配が、間接的に、ロフトの高さで混ざり、個室型や、1室型の家と違う、コミュニケーションの新しい関係をつくって行きます。

その気配は、ロフトに置かれた物が語る記憶の上での家族の気配ともつながって行きます。

冷暖房は、床下に設置した空調機から出た空気が、窓際のスリットより吹き出します。それを、天井で吸込み、熱交換式換気扇により、熱は保ったまま、空気をきれいにした後、再び、床下の空調機から吹き出します。

空気を巡回させることで、家全体の空気の温度差がなくなって行き、効率的な運転ができるようになります。

 

所在地 新潟県長岡市

延床面積 245.77m2(74.3坪)

構造 木造2階建て

構造設計 南雲正一+匠設計

設備設計 ZO設計室

設計協力 加藤弘行 

施工 池田組

 

展覧会・芸術祭
2014.06. 住宅セレクションVol.4「かしこい家」 (AGC Studio、東京、日本)

受賞
2012.03. 住まいの環境デザインアワード2012
2012.05. 北陸建築文化賞
2014.06. 住宅セレクションVol.4「かしこい家」 選出
2014.12. JIA環境建築賞
2015.01. サステナブル住宅賞

載誌、書籍
2012.03. 住まいの環境デザインアワード2012(東京ガス, 日本)
2012.04. 2012 Comfortable House(RIHAN, 中国)
2012.05. M2 Interior Design(SANDU, 中国)
2012.06. Global Architecture Today(天津大学出版社, 中国)
2013.01. 新建築住宅特集2013年2月号(新建築社, 日本)
2014.02. 建築東京2014年02月号(東京建築士会, 日本)
2014.03. Designers File 2014(ワークスコーポレーション, 日本)
2014.07. かしこい家(東京建築士会, 日本)
2015.04. IBEC2015年5月号(建築省エネ機構、日本)

ウェブマガジン
2010.04. e-architect
2010.06. Archello
2011.07. Architecture News Plus
2011.09. designboom
2012.01. AECCafe

 

2階ロフトの開口部を通して、1階の部屋の生活の気配が伝わる。暗くなると、開口部は、1階の部屋の灯りにより、明るく浮かび上がる。

2階のロフトの冬の昼間の様子。光を取り込み、物を置き、家族の気配を伝える場。窓は、4層の空気層で、高い断熱性能を持ち、熱損失を防ぐ。

2階のロフトの高窓の様子。鏡張りの部分は、構造壁だが、鏡で壁の印象を弱め、また、光を拡散する。

2階のロフトの高窓の様子。鏡張りの構造壁に、ロフトの風景が映り込む。

1階の模型。上側にある店舗から路地を経て、下側の南庭まで、いくつもの動線が設けられ、いろいろと行き来できる。

2階の模型。大半が、大きなロフトとなり、家族の記憶である物を置く。ロフト床の開口部を通して、高窓からの自然光が1階に伝わる。

冬の外観。冬季、最大3mの雪が積もり、1階が埋もれる場合もあるが、2階の高窓部分からの自然光が、1階に届く。屋根は、1mの積雪に耐えるように設計しているが、屋根上には、温水による融雪パネルも敷いている。

1階の両親の居間の冬の様子。2階ロフトから明るい光が落ちる。ガラス窓の内側に、断熱材入りの木製の建具が入り、熱損失を防ぐ。

1階の両親の居間。左側の両親の寝室との間は、折戸で、居間と全面的に開閉でき、一体的にも、別々にも使用できる。

1階の両親の居間。庭を望む。2階ロフトからの光で明るい。

1階の両親の居間の下から見た様子と、2階ロフトから見下ろした様子。

1階両親の個室から、2世帯共用の客室の和室を見る。寝室上部の開口部は、開閉蓋で、閉じることができるようになっている。

1階の2世帯共用の客室の和室。天井の開口部経由で、2階ロフトから明るい光が落ちて来る。

1階の洗面所。外部に接していないが、天井の開口部から、2階ロフト経由で、光が入って来る。

2階のロフトから、1階の和室を見る。

 

2階の若夫婦のLDKからロフトを見る。ロフトは、子供が出入りできる空間から、仕切られており、簡単には入れず、安全に配慮している。

2階のロフトの夕方の様子。1階の各部屋から光の気配が立ち上がる。

2階ロフトの様子。家族の記憶であるさまざまな物が置かれている。撮影:長谷川健太。

2階の一部が、若夫婦のLDKになっている。ロフトとの間は、ガラスで仕切られ、子供は簡単に入れない。撮影:長谷川健太。

1階の両親のスペースの厨房。2階ロフトからの光で明るい。造付けの棚や貯蔵庫など収納を充実させている。

道路側外観。左手の既存建物との間が路地になっている。既存建物と新築部分をつなぐスペースとなっている。

(左)冬の雪の降り始めの道路側外観、(右)路地の様子。光の入る部分は、冬季、雪囲いネットが取り付けられるようになっており、北国には珍しい、雪のない半屋外のスペースが現れる。撮影:長谷川健太。