南西部の建築探訪 教会巡礼 - 3:
ニューメキシコの教会
(ニューメキシコ、アメリカ合衆国)

ニューメキシコというのは、建築が独自に発達した地のようです。その代表が、サンタフェや先住民の村に残る教会。ここは、スペイン入植前には、北米有数の先住民文化が発達していた場であり、入植後は、中心から離れた文化圏の北限ということで、コロニアル建築の正統性に縛られず、ローカルな文化の立ち入る余地がありました。

元々は、キリスト教への抵抗の強い地でしたが、今では、先住民の世界観と融合した教会が、彼らの拠り所の一つとなっています。ただし、部外者の訪問にはガードが固く、教会以前に、集落への立ち入りが難しい場合もあり、内部どころか、外観の写真の見つからないものもあります。これもまた、21世紀のアメリカの一面なのです。

教会の多くは、塀で囲まれた前庭を介して、村とつながっています。「ニューメキシコの建築-石と土と光の教会」(ヨウ箱守・市原出著)によれば、アトリオと呼ばれる前庭は、植民地文化の中心、メキシコの教会に倣ったそうです。ニューメキシコに関しては明確な記録はないものの、メキシコでは、教会内に入り切らない先住民のミサの場として利用されました。

教会は、積み上げたアドベに、土を塗ったつくり。この地の先住民の建築技術を取り入れています。そのファサードは、先住民の形式からも、コロニアルの基本からも外れているものの、それでもなお、ニューメキシコのローカリティーとしか言いようがありません。

外に比べ、内部は単純。直線型か十字型の平面には、強い特徴はありませんが、土でなめらかに仕上げた壁や、コロニアル風の装飾が刻まれた木製梁など、細部にニューメキシコらしさが宿ります。

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交通
アルバカーキ周辺、サンタフェ周辺、タオス周辺、アルバカーキから西にギャラップへ向かう高速道路沿線。

リンク
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旅行の際に調べた情報であり、評価については、各人でご確認下さい。

参考文献
"Built of Earth and Song" (Marie Romero Cash, Red Crane Books, 1993)
"Historic New Mexico Churches" (Annie Lux, Gibbs Smith Publisher, 2007)
"ニューメキシコ-第四世代の多元文化" (加藤薫, 新評論, 1998)
"ニューメキシコの建築-石と土と光の教会" (ヨウ箱守・市原出, 丸善, 2000)
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ニューメキシコの教会

        Photo by Daigo Ishii