ドーワ寺院
(バンダーラウェラ、スリランカ)

ヒルカントリーの南部、バンダ−ラウェラからエッラに向かう街道沿いに、ドーワ寺院はあります。紀元前1世紀、インドからのタミール人の襲来を逃れた王が、一時、ここに隠れていたのが、寺の始まりだそうです。

街道に面して、先ず、白い門。脇にある、枝を大きく張り出した大樹の緑とのコントラストが、涼しげで気持ちのいい入口です。緩やかな階段を下りて行くと、平らな広場となり、中央に、赤瓦と白い柱の美しい説法堂が現れます。中央に説法壇が立ち上がり、大きな吹抜のある建築です。

説法堂の前で、参道は、くいっと曲がり、下り階段が現れます。地形に合わせた巧みな動線は、日本の神社の参道とも似ており、ちょっと嬉しくなります。階段の途中にある菩提樹の梢が、丁度、目の高さに広がり、緑でできた2番目の門を入って行く恰好です。

スロープに合わせて、折れていく階段を下りると、本堂が現れました。奥の崖から、岩が、柔らかく波打ちながら、奔流のように本堂に向かって流れて来ます。ここも、素晴らしい岩のランドスケープと結びついた聖地なのです。

本堂は、岩から掘り出された仏像と、岩に描かれた壁画のための覆堂です。建物本体は、それもあってか、建築的には、今一つです。中に入ると、垂れ下がった天蓋のような岩に、鮮やかな蓮の花や仏陀が描かれ、岩の付け根を、仏陀の涅槃像が囲んでいます。

ダンブッラとは違い、ここの仏像は、ガラスケースで保護されています。タイル敷きの室内から、ガラスの奥の仏陀を見ていると、なんだか、水族館で、仏陀が泳ぐのを眺めているようで、不思議です。

本堂の奥にある、白いストゥーパを祀った洞穴をお詣りして、再び、外に出ます。本堂の裏手の岩盤を上って行くと、崖の垂直面の岩が、大きな磨崖仏になっています。

岩の形を読んで、どんな風に祈りの場に加工して行くか。スリランカ流の岩との結び付きの、さまざまな形に触れることのできるドーワ寺院です。

洞穴のストゥーパの奥には、入口を煉瓦で塞いでいますが、ドーワ寺院からエッラに到る、10キロのトンネルがあるそうです。

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交通
バンダーラウェラから車で15分程度、バンダーラウェラからエッラに向かうバスも通っている。

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参考文献
Lanka Library Forum

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ドーワ寺院 (紀元前1世紀 - )

         Photo by Daigo Ishii